自助・共助・公助し想い寄り添う医療は私が2019年院長就任時に新たに掲げた3つの足助病院理念の1つです。
今日のコラムは赤ひげ診療譚にかけてのきょうじょ(共助)ネタです。
初めに、赤ひげ診療譚のタイトルにはとても味があります。
昭和39年、今から約60年前に発刊された、山本周五郎氏の名作であることは周知と思いますが、赤ひげ診療録でも診療記録でも診察談でもなく診療譚、素敵です。
そもそも、譚は「かたる」「ものがたり」という意味で、身近で一般的な漢字は「談」です。
とはいえ、「談」と「譚」は、雰囲気が違い「譚」は、起承転結やテーマ性を含む物語として成立している話、いわば物語として完成されている話を指します。
一方、「談」は会話のなかで語られる話や、ちょっとした話題、講談などを指すので少し、柔らかい感じです。
我々も日常的には後日談などと使いますが、後日譚とは使いません。
譚を使う趣のある表現が幾つかありましたのでご紹介いたします。
譚詩…バラードのことを指します
奇譚…世にも珍しく面白い物語・言い伝えのことで読むとわくわくします
民譚…民間説話、民話などで先人の知恵が詰まっています
冒険譚…目的のために危険をおかして物事を成し遂げるドキドキするお話
変身譚…人間が動植物などに変身する神話や物語です、カフカの「変身」もこれにあたりますね。
赤ひげ診療譚は全8話で構成されています。 第一話のタイトルは、きょうじょです。
ただし、共助(きょうじょ)とはほど遠い狂女(きょうじょ)ですが、内容に今後、共に助けることになる庶民の心使いが漂っています。
主人公の赤ひげ 新出去定に危機一髪で狂女から命を助けられた主人公の一人でもある青年医師 保本登の心の声『赤髭か、わるくはないな。』という想いが最後に描かれています。
このくだりが、後に助け合う共助(きょうじょ)につながります。
狂女⇒きょうじょ⇒共助… 少々、変化球でしたかね?
皆様、パスボールせずキャッチしていただけましたでしょうか?