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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/11/10 

Vol.622 「勘違い」

執筆 院長 小林真哉

ああ言えばこう言う人、いますね~。
私の外来に定期的にかかっているあの孝行息子さん(参照コラムVol 604.605.606)は正にそんな愛すべき人です。
ただし、言い方を変えれば病識がない、言い訳ばかりするということにもなりますね。
まだ、気温が35度を超える9月の初旬の月曜日のことです。

『あ~、今日は早いね~良い採血結果出ちゃったのかな~』と軽妙なトークで診察室へいらっしゃった御仁。
私の顔色と自らのポッコリおなかを見比べて
『反省だけなら○○でもできる。なんてね~』と底抜けに明るい人なっこい笑顔で、ダジャレ満載のマシンガントークです。
真面目な研修医だと面食らうこと間違いなしですが、診察介助のスタッフは慣れたもので軽くいなして血圧測定。

こちらから問いただすまでもなく、まずは言い訳です。
『レコーディングダイエットの記録ですが、今日はわざと忘れました。
改善していませんでしたので…』
その言葉を聞きながら、私も応酬です。
『でしょうね!そのおなかを診ればわかります。』
私の話もそこそこに、
『院長先生!コラムに取り上げていただきましてありがとうございます。
今日は、リベンジのコラムを作成してきたので、没にせずよろしくお願いしますよ』
と白封筒を渡してきましたのでその内容を供覧いたします。

【「体脂肪率」by 孝行息子
 糖尿病は体脂肪とくに内臓脂肪の蓄積に深くかかわりますが、
 友人から予定日はいつ?男の子?女の子?などといじられる私のポッコリおなかは内臓脂肪の塊です。
 某主治医からの食生活の改善と運動の励行を指示されることは必須です。
 有言実行を合言葉に少しでもおなかを引っ込ませて昔のようにモテモテの自分になります。】
 とつらつらと妙な決意表明が記載されていました。

それを読んでいてふと思いました、「孝行息子さんは、病識はないのだけれども自意識は高いのかな」と

〝昔のようにモテモテの自分〟ね、大きな勘違いでなければよろしいのですが。

何事も自己客観化が大切ですよ孝行息子様!

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