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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/04/04 

Vol.2  「樹氷に想う・・・Frost-covered trees」

執筆 院長 小林真哉

冬のある日、ふと樹氷が見たくなり一人御在所岳に登ってみました。
とはいえ、登山初心者(装備・服装は一人前ですが)には冬山登山は命とりですから、今回はロープウエイですね。(いつの日か自らの足で登りたいと念じ。)
名古屋は快晴で御在所のふもとも晴れていて気温は2℃でした。運転中にみえる、冠雪した鈴鹿山系はまさに雪舟の水墨画を彷彿とさせられ気持ちの高まりが抑えきれず、車を停め頻回に知人にメールしている自分がいました。
車外に出ると、朝のピンと張りつめた空気と大自然に抱かれ得も言えない充実感に包まれていました。御在所岳のふもとでは、早朝にも関わらず登山客が数多くいましたが、僕のようなフル装備の人は少数派でやや浮いている感じでしたね。(今回の目的には、気象条件の予想の確認・自分の装備の耐寒性チェックもありましたのでいいのですが)
雪などがある条件では、100m標高が上がると気温は0.6℃ほど下がります(湿潤断熱減率)。つまり標高1212mの御在所岳だと ふもとが2℃なら2℃-7.2℃で氷点下5-6度になるのです。
そしてロープウエイを降りると-6℃の一面の銀世界が迎えてくれました。風も強かったため体感温度はかなり低く今回は、-10℃以下の体感温度だったのではないでしょうか。(風速1mで体感温度は1℃下がります)そんな過酷な条件でも私の装備は全く問題なく、樹氷を満喫できました。
樹氷の状態も素晴らしくいつまで見ても飽きない、そして想いが尽きない至極の時間が流れました。多くの人は『うわ-っ 樹氷 すごーい 綺麗だね・・・ うっ- 寒―い』と数十秒で頂上のハウス内に戻られていました。その中で、人の足跡のない新雪を踏み樹氷に近づき、たたずみゆっくりと心いくまで堪能することができ最高でしたね。何事も下調べ・準備が大切だな-と思いながら撮影もすすみました。
樹氷に関して言えば冬であればいつでもあるわけではありません。樹氷は霧氷の一種です。氷点下に冷却した濃霧が樹枝などに凍りついて白く美しく見えるものです。気象の条件としては、冬の季節風が日本海から水滴を含む霧・雲を運んでくることが必要です。そして樹氷は吹き付ける風上に向かい成長していきます。

人生も樹氷のように成長していきたいものです。向かってくる困難・課題・試練に背をむけることなく真正面から向かい進み成長していきたいものです。
 御在所岳はご存じのように太平洋側にありますので、蔵王・八甲田山のように有名な大きな樹氷のようにはなりません。また、樹氷が見られる日は少なく、年によっては年数日です。
 とはいえ、御在所岳は実は、日本海との間にさえぎる山がなく、距離も80kmと奇跡的な好条件を持っているのです。樹氷にとって必須条件である、水分を含んだ日本海からの季節風が直接吹き付けるのです。更なる条件は気温・湿度・風速です。氷点下3度以下、北西風が10m以上(15m以上になるとロープウエイが止まります)と考えるとなかなか難しく、私の登った日は 全ての条件が整いとてもラッキーでした。

『偶然なのか必然なのか。』と三条件に思いを巡らせているとはたと『病院運営も同じかなと』・・・まだまだ道半ばではありますが、この大自然の樹氷のように、人々に『感動』を与えられる医療・保健・福祉(介護)が一体となった足助病院を作り上げようと気持ちを新たにした樹氷の経験でした。
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