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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/04/11 

Vol.4  「56.3℃と56.9℃」

執筆 院長 小林真哉

2018年の夏は記録的な猛暑となりました。全国で軒並み40℃を超える地域が出て熱中症対策が大変でした。
我々医療の現場でも年齢・性別問わず体調を壊し救急搬送される方々が続出しました。その他にも記録的豪雨・今までにない進路をとる台風・地震等自然の変化・脅威を感じる年でした。

明けて2019年、今度は記録的な寒波が日本を襲っていました。2019.2.9の北海道陸別町の最低気温はなんとマイナス31.8℃でした。想像できましょうか?そこで幾つか調べてみました。
一つ目は2019.2.9時点での日本の最高気温と場所ですね。沖縄県石垣島の25.1℃でした。陸別町との気温差はなんと56.9℃になりました。
二つ目は陸別町の夏の最高気温ですね。24.5℃でした。陸別町における夏と冬の気温差は56.3℃です。56.3℃と56.9℃奇しくもほぼ同じでした。
56.3℃からは日本の春夏秋冬をまさに実感し、56.9℃からは日本は東西南北に広いのだなと実感しました。当院のある足助でも夏は40℃近くなり冬にはマイナス10℃近くなることがあります。気温差50度です。日本の多くの地域が一年の気温差50℃前後となってきているように思います。

2019.2.9に話を戻しますがその日に石垣島から陸別町に行く用事があったとしたら、周到な準備をしていても体調を崩す可能性が高いでしょう。短時間での温度変化に体がついていかないのです。その顕著なものが冬場のトイレ・浴室でのヒートショックといわれる突然死です。
人間の体には順応能力がありますが、今の気象状況はそれを上回りつつあるのです。同じ陸別町に住んでいても、夏と冬では56.3℃、足助では50℃の気温差に一年間をかけて順応していかなければならないのです。

でも、日本には春と秋があります。来るべく酷暑に備えて芽吹きの春を過ごし、来るべく酷寒に備えて実り多き秋を過ごすのです。体調管理も同様です。日々の食生活・運動に留意して(ご興味があれば、気象庁の三か月予報に耳を傾けると今年は酷暑?暖冬?がわかってきます。より十分な対策ができるのではないでしょうか)規則正しく生活することに心がけましょう。

医師という仕事をしていると本当に実感します。酷暑の時期には熱中症・脱水・尿路感染症等の患者さんが増え、酷寒の時期には肺炎・心不全等の患者さんが増えます。
しかしながら当院のように高齢の方々をよく診させていただく施設においては酷暑のあとの秋、酷寒の後の春にも慢性疾患の悪化・食欲不振・ADL低下により体調を崩し、入院されるかたが多いのです。
まさに高齢化率40%を超えている当地域ならではの「あるある」なのです。とすると約25年後に日本全体が高齢化率40%に迫り、気象の条件ももっと過酷になっている思われるときの状況は想像できますね。

だからこそ我々は年齢関係なく、心身ともに備えて日々を過ごし一日でも健康寿命を延ばすことが必要なのです。
さあ今からできることを一歩ずつ(禁煙・節酒・腹八分目・一汁三菜・ウォーキング・階段利用・そして日々笑顔で過ごす等)はじめましょう。
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