国立長寿医療研究センター 研修医 元木
1.へき地医療研修で楽しかったこと、思い出
地域医療実習での訪問リハビリテーション同行は、病院内では得られない多くの学びがありました。
最長で長野県までカバーしていると伺い、その広範なエリアに驚きました。
交通費を考慮すると採算が取れているわけではないそうですが、交通手段が少なく、家屋に段差が多い過疎地域では、医療者が自ら向かわなければならない場面が多いのが現実です。
医療者の訪問が、リハビリという医学的介入だけでなく、患者さんの孤独感を和らげる社会的処方のような役割も担っているのではないかと感じました。
地域医療の重要性と課題を実感する、非常に良い勉強になりました。
2.後輩研修医に是非伝えたいこと
地域医療実習は、座学や都市部の病院研修では得られない、非常に重要な視点を養う機会です。
私達は、「過疎地域の医療資源の不足」を授業で知識としては学びますが、その言葉の本当の重みは、実際にこの目で見て、肌で感じないと理解できないことが多くあります。
もし実習中に時間があれば、ただ病院にいるだけでなく、ぜひ周囲を散策して、地元の人がどのような環境で生活し、何に困っているのかを見てみてください。それが患者さんの背景を理解する第一歩になります。
また、私が実習させていただいた足助病院の職員の方々は、地域医療に対してそれぞれが非常にしっかりとした考えを持っておられました。
ぜひ積極的に質問してみることで、その土地ならではの医療の工夫や情熱に触れてみてください。
3.へき地医療(地域医療)に対する考え方の変化又は感想などあれば記載ください。
今回の地域医療実習に参加するまで、私は僻地医療といっても、都市部と同様に「患者さんが病院に通い、治療を受ける」という基本的な医療システムは変わらないと漠然と考えていました。
しかし、実際に現場を見ると、交通手段が限られ、高齢化が進む地域において、患者さんにとって「病院に通う」こと自体が、私たちが想像する以上に大きな苦労と困難を伴う現実であることを知りました。
私は、そうした厳しい環境の中で医療が「治療」だけに留まっていない点に関心を持ちました。地域包括ケア病棟や介護医療院といった機能が充実しており、単に病気を治すだけでなく、患者さんの退院後や在宅での「生活そのもの」を地域全体で包括的にサポートする体制が整っていることに驚きました。
この実習を通じて、医療とは単に疾患を治す行為だけを指すのではなく、その人がその人らしく地域で安心して暮らしていくための「生活全体をサポートすること」なのだと、その本質的な意味を実感しました。
4.地域住民・患者さん・職員へのメッセージ
この度の地域医療実習では、皆様の温かいご支援の中で多くのことを学ばせていただき、ありがとうございました。
職員の皆様には、新しい施設で右も左も分からず、カルテの操作に戸惑ったり病院内で迷子になったりした際にも、いつも優しく丁寧にサポートしていただきました。皆様のおかげで、安心して実習に取り組むことができました。
また、訪問リハビリテーションに同行させていただいた際に、患者さんからかけていただいた「頑張って」という応援の言葉は、研修医として学びにきた私にとって、大きな励みとなりました。
短い期間ではありましたが、この地で皆様と出会い、地域医療の現場で学ばせていただいた貴重な経験を活かし、今後も精進してまいります。