たとえば、海の向こうに沈んでいく夕陽はぼくらに心があることを思い出させてくれる。
そのあまりの切ない美しさが人間の心に与えるメッセージは生命としての根源を表すものでもある。
だから、ぼくらは夕陽にため息を漏らすのだ。
宇宙からのメッセージを受け取った生き物はみんな与えられた命の偉大さをその時、静かに、深く、本能的に、悟っている。
のどかな夕刻の風がキミの頬をなでる。振り返ると西の海域には太陽がじりじりと沈んでいく。ゆっくりなのに、けれども、確かに沈んでいく。
周囲が少しずつ赤く染まり始めていく。同じ形は二度とないのだ、と沈む夕陽の変化を見ながら頷く。まばたきする間にも、次から次へと変化していった。
そこには人間が決してあらがうことの出来ない無常があった。
打ち寄せては返す波のように、ぼくらはこの星で生きている。ぼくは最後に、まぶたを閉じ、頬をゆるめ、夕陽の美しさを思い出しながら、もう一度、「ありがとう」とつぶやく。
キミと明日のために…