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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/03/04 

Vol.64  「雪の結晶」 川崎 貴之

執筆 外部の皆様

今冬は雪が多いですね。冬の風の寒さに加え雪の冷たさが身に沁みます。
日々の生活にも負担がかかり、朝に雪が積もっているのを見ると重いため息が出てしまうこともあります。

雪といえば、さまざまな形の結晶があることはよく知られています。
研究によると雪の結晶は121種類の分類があるそうですが、分子レベルで見ると実は全く同じものは1つとして無いそうです。
その形を見れば空の様子もわかるそうですが私にはその知識は無いので、単純にその幾何学的な模様に惹かれます。

雪の結晶をデザインとして使用した例は、日本では江戸時代からあったそうです。
そのブームの火付け役となった本が、下総古河藩第4代藩主の土井利位という人が書いた「雪華図説」。
ちなみに、土井利位は三河刈谷藩主の子として生まれて養子として古河藩主となったので、三河の人なのですね。
雪の結晶を「雪華」と表現するセンスが素晴らしいです。

土井利位は当時まだ珍しかった顕微鏡を使って20年かけて86種類の雪の結晶を観察し、「雪華図説」にまとめています。
藩主としての役割、また幕府の老中首座としても活躍していた人なので非常に多忙だったと思われますが、その一方で研究者としても地道な研究を続けて成果を残したその行動力には頭が下がる思いです。

雪の日にはため息をつくだけではなく、そんな過去の偉人のことをちょっとだけ想って眺めているのもいいかなあと、少し現実逃避なのですがいかがでしょうか。
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