MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/05/27 

Vol.66  「大人の読書感想文」 匿名希望

執筆 外部の皆様

普段は仕事の役に立てばとビジネス書を読んでいますが、尊敬するお方から日本の名作と呼ばれるものからもインスパイアされることもあるとアドバイスをいただき、夏目漱石の「こころ」を読んでみました。
この本は上「私と先生」、中「両親と私」、下「先生と遺書」という三部構成の長編小説で教科書にも載る程有名なお話です。
主人公の私、先生、先生の奥さん、先生の友人Kの4人が主な登場人物になります。主人公が大学の夏休みに鎌倉の海水浴場で、不思議な魅力のある先生と出会い、そこからの交流、先生の過去についての話が展開されます。
先生は早くに両親を亡くし、信頼していた叔父に両親の財産を奪われてこころに深い傷を負いながら、下宿先で友人のKを出し抜いて自殺に追い込んでしまったというかなり壮絶な過去がありました。
人を裏切ったことや裏切られたこともあり先生の苦悩がよく分かります。
しかもその原因となった奥さんが常に隣にいるので、忘れたくても顔を見るたびに思い出してしまう、そういったこころ葛藤が感じられました。
結局主人公に手紙で過去を打ち明けて先生も自殺してしまうという内容でした。

この本を読んで、人はこころの苦しみを誰にも打ち明けられないのはかなり苦しいことだと改めて感じました。
最近ではタレントの上島竜兵さんがご逝去されたこともあります。
体を張った芸やアツアツおでん等の伝統芸で元気をいただいていました。そういった方でも悩み、耐えきれなくなってしまう異常な状況なのかなと感じます。
コロナ禍だからこそため込まず、少しずつ発散していくことが大事ですね。
コラム一覧へ戻る