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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/03/10 

Vol.101  「地域の課題② ~過疎・市場性がない~」

執筆 名誉院長 早川富博

この訪問診療をするたびに地域の課題が明らかになってきましたので、地域の課題の根本を理解しようと思いました。

図に示すように、過疎と地形の問題から利用者が少なく点在していることは、サービス提供する側にとって効率性がすこぶる悪いので、市場として成り立たないのです。
その結果、慈善事業でない限り、サービスが参入しないことが明確でありました。
当時、効率が悪いことから介護サービスも民間事業者の参入は少なく、社会福祉協議会のサービスが主体でありました。

一方、地域の慣習として頑張りすぎる介護、嫁や妻の介護が主体であることも問題でした。
今、よく言えば自助でしょうか?
そもそも介護保険の導入は、家族の介護から公的な介護、すなわち介護の社会化を目指したものでした。
介護保険導入から20年たとうとする今、また自助、共助の重要性を唱える総理大臣になりました。
彼の本心はどこにあるのか?
いずれにしても、これらの二面から地域のサービス不足があるのだと考えられました。

過疎であればバスなどの公的輸送サービスも少なくなり、診療所や病院への通院に時間がかかることも大きな課題で、この問題は現在も同じです。
少子高齢化から過疎→市場性の欠落→生活全体へのサービス不足→不便→市街へ転居→過疎に拍車、という負のスパイラルが始まっていました。

つづく...
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