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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/06/09 

Vol.114  「田舎の課題-過疎対策 ~地域内経済循環~」

執筆 名誉院長 早川富博

これまで当地域の課題-田舎の課題を取り上げて、課題解決を医療・福祉の面から考えてきました。
しかし本題は、過疎です。

その対策は?

これまでのところ、人の流出が流入を上回っています。
人が流入するにはどのような条件が必要でしょうか?

第一はまず安全。
これには防犯、防災、病気になっても安心の医療があります。
警察、消防、病院があることが条件です。
これらの施設は現在のところ足助地区にあります。

次に子供の教育。
足助高校があります。
しかし、少子化のために若年人口は減り続け、小・中学生も減少して小・中学校の維持も難しくなるかもしれません。
同時に警察署の縮小、病院の改変なども進むでしょう。

過疎を食い止めるために最も大事なことは食うために稼ぐという、仕事があることでしょう。
そのためには、地域内から流出しているお金を地域内にとどめることです。
地域内にお金が残り、それが仕事づくりにつながります。
現在流出している1%のお金の流出を止めれば1%の人口流入が期待できるという試算があります。
「地域内経済循環」という考え方です。
流出するお金には、食料、教育費、娯楽費、電気・水道・ガスのエネルギー料金、ガソリン代などがあります。

ではお金の流出を防ぐ具体的な方法は?

地産地消が第一です。
食料の地産地消は良く知られています。
エネルギーの中でも電気の地産地消は可能です。
再生エネルギーを地域で作り、地域で使う。
太陽光パネルが代表的な再エネですが、メガソーラーと言われるものは資本を持った企業が投資して電気を作り、他地域へ売っています。
これではエネルギーの地産地消にはなりません。
小規模の太陽光パネルで発電して、それを地域で使う。
蓄電池の代わりに電気自動車の電池に貯めて、災害時にも使用する。
移動して電気が必要なところへ電気を運ぶこともできます。
これが太陽光パネルの発電でエネルギーの地産地消です。

太陽光パネル付きカーポートを病院の駐車場に設置しました。
4台分のカーポートですので大型です。
この屋根の太陽光で10~13KWの発電が得られます。

現在、病院へ直接利用していただいているので、微々たるものですが電気の地産地消のモデルです。
これを小学校や地域の共有施設に設置することで、電気の地産地消が拡がることを期待しています。
初期投資は必要ですが、原資は無限にあり、かつ無料の太陽光です。
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