前回は夫婦で受診される方のお話でした。
夫唱婦随のパターンの話でしたが、今回のエピソードも夫に厳しい話です。
夫婦で診察場に入られて、夫が先に診察されますが、妻の診察まで診察場に残られ妻の診察結果を優しく見守られる夫。
一方、自分はさっさと診察室を離れ、後のことは妻にすべて任されている男性。
このパターンはまさに亭主関白!
しかし、このような場合、残された妻から夫に対する不満の言葉を聞くことが多いのです。
50年近く、もしくはそれ以上、夫婦として、お互いに相手を認め、感謝して、時には妥協して生活してみえるはずですが、やはり不平・不満があるのですね。
その内容が可愛い(失礼ながら他愛もないもの、一種ののろけ?)ことが多いのです。
しかし認知症が進んできますと、その内容は過激な言葉になってきます。
認知症になると、お互いの成長の中で培われた理性が徐々に脱落して、本能もしくは本性が前面に出てきます。
長年連れ添った相手には特に強く出るようですね。
それを聞いた連れ合いはたじろぎます。
たじろいだあとが重要です。
なじられた言葉に対抗する言葉や態度をとられる方がほとんどと想像できますが、そこで、反応する言葉をぐっと飲み込んで、
「病気だから已むえないなー」
と対応することが大事です。
「言うは易く行うは難しです」。
亭主関白であった人ほど気をつけましょう。
2回にわたって自戒を込めて。