MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/03/16 

Vol.153  「我慢は難しい」

執筆 名誉院長 早川富博

人は欲望の塊です。
欲望がこれまでの人類の進歩の推進力でした。

しかし、「人新生」で書いたように、人の欲望のままに進歩?して、ツケが現在の異常気象につながっているのです。

人個人に焦点を当てると、欲望の中で最もコントロールが難しいのが食欲でしょうか?
 
「食べること」は生きるために重要なことです。
大昔、食べられなければ人は死に直面しました。
何故か、人間の利用するエネルギー源はブドウ糖が主です。
このブドウ糖が血液で運ばれて、脳、筋肉などで使用されます。
ブドウ糖が低下すると、脳が働かなくなって意識消失(失神)が起きます。
その状態を放置すると死に至ります。
そのためか、神様は人間の血糖値をあげるために必要なホルモン(ステロイドホルモン、甲状腺ホルモンなど)を多数用意しています。

一方、血糖を下げる作用のホルモンはインスリン1個のみです。
太古の昔、縄文時代では生きるために食べることが第一、動物と一緒です。
血糖を維持するために!
それで脳も発達してきました。
血糖を維持するための装置は人の生理機能に完備しています。
神様が動物を作ったときに、現在のような飽食の時代を想定されなかったのでしょう。

食べれば血糖が上昇します。
それを抑えるためにすい臓からインスリンが放出されて、血糖が高くならないように調節します。
インスリンが血糖を肝臓や筋肉に貯めるグリコーゲンという形にします。
貯めたものを使わないと脂肪組織に移動します。

たくさん食べれば、血糖が多く長く増加するので、結果として、反応するインスリンも沢山分泌されます。
そして体重も増えます。
これを毎日繰り返せば、すい臓も疲れて反応して分泌されるインスリンが低下してきます。
この状態が糖尿病です。

もうちょっと食べたい、もっと美味しいもの(大体カロリーが高い)食欲悪循環の始まりです。
食欲という欲望を抑えれば、世界が変わる!
地球を救う!
コラム一覧へ戻る