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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/05/25 

Vol.162  「個人情報とたすけあい」

執筆 名誉院長 早川富博

先回、個人情報の取扱いについて書きました。今回は個人情報とたすけあいについて。
隣人がどのように生活しているか(独居がどうか:昼間独居も)、身体的状態(移動状態:歩けるか,車の運転できるかなど)、認知機能が低下してないかどうかという精神的状態などを把握していないと隣近所でのたすけあいがうまくいきません。
とくに災害時には、自分で歩けるか?認知症があるか?はトリアージ(助ける順序)を考えた場合、大事な情報です。
しかしあまり知られたくない個人情報でもあります。
独居であるとか要支援状態であるとかは、行政機関である包括支援センターは福祉の一環として知っている必要がありますので情報を持っています。
しかし小生が、ある地区の独居老人の名簿を見せてほしいといったら拒否されました。
公的機関が勝手に情報開示はできないとのことでした。
小生の身元が明らかで、悪いことには使用しないと解っていてもだめでした。
また、たすけあいプロジェクト推進のために各自治会で説明会をお願いしようと、自治会長さんの名簿を依頼した時もかなり大変でした。
名簿が流出すると、いろいろな業者から自治会長さんにアプローチが来る可能性もありますので、名簿の開示を渋られる気持ちもわかります。
しかし情報開示なしでは「たすけあい」は困難になります。何とか小生の人格を信頼されて開示していただけました。
このように情報開示には、双方の信頼が必須です。個人と個人、組織と組織の間も同様です。
深い信頼なくして個人情報の開示はありません。
情報の開示なくして「たすけあい」もありません。
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