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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/07/13 

Vol.169  「小説 読書歴②」

執筆 名誉院長 早川富博

歴史物となると司馬遼太郎氏ですね。
初期の怪奇小説から歴史小説、街道が行くなど、ほとんどすべての本を読んでいます。
単行本と文庫本の両方の物もあります。寝ながら読むのに文庫本は大事です。
亡くなられる前に、名古屋で氏の講演会があり、当時医局長をしていましたが、教授に許可を得て平日にも関わらず拝聴しに行った記憶があります。
司馬氏には多くの歴史小説があり、NHKの大河ドラマにも取り上げられています。
それぞれの主人公が生き生きと活躍する内容にワクワクします。時代の変革期に活躍した人物を描き、司馬史観とも呼称されています。
「峠」「竜馬がゆく」「坂の上の雲」「燃えよ剣」「花神」「菜の花の沖」など。これらの作品が縦糸とすると横糸にあたるものが「街道をゆく」でしょう。
それぞれの地域における歴史的出来事や人物が興味深く書かれています。地元である尾張・三河地方が書かれている「濃尾参集記」を最後に急逝され、「街道をゆく」が終了したことが残念でなりません。
司馬史観と呼ばれることに、批判的な意見もあります。歴史を歪曲して伝えているというものです。
物語であるから史観という言葉は不適切でしょうが、「街道をゆく」は文化人類学に属するものであるようにも感じます。
読者が興味を抱けば、あえて分類する必要はなくて良いのでしょう。
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