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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2022/08/24 

Vol.175  「墓参り」

執筆 名誉院長 早川富博

お盆は実家に帰り、仏壇を前に祖父母のお参りをした後、檀家寺の先祖の墓にお参りをします。
お寺は西三河に多い浄土真宗西本願寺派です。子供のころお経を習いに行っていた記憶があります。
兄は記憶力が良く、よく諳んじていましたが、小生は小学校の低学年であったのでお経本を見ながら唱和していました。
そのお経は「正信偈」でありました。後で調べると「正信偈」はお釈迦の言葉であるお経ではなく、親鸞聖人が一般お人にわかりやすく説いた歌であるとのこと。
だから調子が良く歌うように節回しが出来たのでしょう。我が家では親父が主に唱え、小生たちがそれに合わせて詠みます。
正信偈の後に「御文」を親父が詠みます。いつも「それ人間の浮生なる相をつらつら観ずるに・・・・」で始まる「白骨」でした。
これも大人になってから知ったことですが、御文は蓮如が地方の信者に充てた手紙とのこと、丹羽文雄氏の著書で知りえました。
仏壇を前にお参り後、お墓に向かいます。
炎天下の中、流れる汗をぬぐいながら実家からお寺まで歩きます。
ほんの5分ですが、実家の裏道を、昔を懐かしみながら歩きます。こんなに狭い道であったか?子供の時に走り回った道はもっと広かったのに。
不思議とお盆の時期は、蝉の声が喧しく、いつもカンカン照りで暑いのです。お寺の水くみ場で薬缶に水を汲んで、すでに周りがきれいに掃除されているお墓に水をかけて、すでに枯れかかったお花を替えて、ろうそくに火を灯し、線香を焚いてお参りをします。
昔は立派であったと思っていた墓も70年たつと、少しみすぼらしく見えます。周りには新しく立派な墓が毎年増えているようです。
一方、わが家は小生の兄が跡を継ぐことになっていますが、その子供は娘2人。
小生も娘3人。これでは墓守をする後継者がいません。兄貴の代で墓じまいをすることになりましょう。
自分の入る墓はなくなるので、自分のお骨は海へ散骨してもらい、世話になった魚のえさになってもらおうと考えています。
墓はなくても、遺伝子は脈々と残っていますから。
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