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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/07/31 

Vol.18  「胃酸」

執筆 名誉院長 早川富博

胃酸は胸やけの逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍の原因であり、目の敵・悪玉にされていますが、
前回お話ししたように、生理的にとても重要な働きがあります。

食事をすると胃液が出ます。その中の成分に胃酸とペプシンという蛋白分解酵素があります。
この両者で蛋白質を変性・分解するのです。
現在と違い、大昔は落ちている食物(どんぐり)など、清潔でない食べ物を食べていました。
その中には細菌も多くいるので、それを殺菌する必要があったのです。
胃の中で殺菌してから、消化吸収する小腸へ食べ物は移行していきます。
胃酸で酸性になった食べ物は十二指腸で、膵液によって中和されて、はじめて消化吸収が始まります。
胃酸を抑えすぎると食道・胃・十二指腸に細菌が増えます。
これが胆石の原因になったり、逆流性誤嚥性肺炎の増悪に繋がります。

生理的な状況を悪くすると病気になります。
しかしそれを治療するために生理的な状況をかえって悪化させることがあるのです。
人間の生理は絶妙なバランスで保たれています。
それを壊すような、食べすぎ・肥満・喫煙などの生活は避けるべきです。
難しいですね~。
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