「家で亡くなるということ」
住み慣れた家で最期を迎えることです。
どのアンケートをみても、死を迎えるにあたって最後は住み慣れた自宅で迎えたい、という希望が圧倒的です。
専門的用語ですと「在宅死」です。
1951年(小生が生まれた年)には80%近くの人が「在宅死」でしたが、経済の高度成長に伴い、その比率は20%近くに落ち込み、昨年度は「在宅死」27%に回復傾向です。
しかし27%のうちの10%は住み慣れた家以外の「老人ホーム」が占めています。
特別養護老人ホームもグループホームも住民票が写りますので在宅となるのです。
いずれにせよ「住み慣れた家」で最期を迎えるには、それ相当な条件(準備)が必要です。
第1は、最期を迎えるのですから本人が、これで人生最後で死を迎えるのだという自覚が必要です。すなわち自分の希望です。
第2は、痛みや苦痛が出来る限り少ないことです。疼痛がコントロールできないと頻回に医療のお世話にならなければいけません。
第3は、お世話してくれる介護者の存在です。普通は家族が担当されますが、主な介護者のみでなく、協力者の存在が重要です。
第4は、在宅療養を支える医療・介護スタッフの存在です。
足助病院では、1996年から訪問看護ステーションを設置して、患者さんの在宅療養を支えてきました。
当時から在宅死にも取り組んでいました。
雪の中での訪問、深夜に在宅での看取りのために訪問診察をしたことを思い出します。
看取りまでの時間を、家族の方と炬燵に入って、お茶を頂戴しながら待っていたこともありました。
ゆったりと時間が流れていたように思います。