前回、「在宅死」を支える必須条件を書きました。
第1は、最期を迎えるのですから、本人がこれで人生最後で死を迎えるのだという自覚が必要です。すなわち自分の希望です。
第2は、痛みや苦痛が出来る限り少ないことです。疼痛がコントロールできないと頻回に医療のお世話にならなければいけません。
第3は、お世話してくれる介護者の存在です。普通は家族が担当されますが、主な介護者のみでなく、協力者の存在が重要です。
第4は、在宅療養を支える医療・介護スタッフの存在です。
1996年から2000年に訪問看護の対象者の中で亡くなられた方々の家族にアンケートをお願いして得られた結果が、上記の4項目でした。
この条件は、現在も変わらないようです。
昨年末、お二人の最後を住み慣れたお宅で看取りさせて頂きました。
共に担癌患者さんでした。
第1の本人の強い希望と第3の家族の協力がありました。家族の介護力が十分であったことが大事でした。
第2の疼痛は麻薬でコントロールされて、第4の在宅療養を支える訪問看護師スタッフがいました。
医師の役割は徐々に低下し、看取りの最後に枕頭に侍ることはなくなり、家族が看取り、訪問看護に連絡後、医師が死亡確認に出かけます。
担癌患者さんで在宅療養が数か月という見通しがあれば、家族の方も頑張ることもできますが、脳卒中後遺症や認知症などで要介護度が3以上であると、一定の介護力が必要ですので、なかなか在宅療養が困難となります。
その時は、普段はデイサービス、ヘルパー派遣など利用していただき、介護疲労が出たら、病院での短期入院、介護施設におけるショートステイを利用することで、介護される家族の方々の休息(レスパイト)をとって頂くことが重要です。
ときどきレスパイトを提供することが在宅療養の継続と、その延長線上の「家でなくなること」につながります。
足助病院では、在宅看護・医療、レスパイトを提供する短期入院などを用意して、地域で介護、地域での看取りを提供しています。
病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)、ケアマネージャや包括支援センターにご相談ください。