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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/03/22 

Vol.205 「飢餓、感染症」

執筆 名誉院長 早川富博

地球人口は今や80億に近づいています。

2011年は70億人だったのですから、たったの10年で10億人増えたことになります。
私が生まれた1950年頃の人口の増え方は10億人増えるのに60年もかかっていました。
1900年代では10億人増えるのに100年かかっていました。
現在の地球人口の増加スピードは驚異的です。

20世紀の前半は2度の世界大戦もあり、かつ感染症が制圧されていなかったので人口増加は抑えられていましたが、後半から化石燃料の利用、科学技術の発達により食料生産性の向上と感染症の撲滅(主に細菌感染)の恩恵を受けて、人口は急増してきました。
飢餓と感染症を克服したことで今の繁栄があります。
遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジーによって食糧生産は増加し、食物連鎖の頂点に立つ人類の増加が支えられています。
同時に科学の発展により、治療薬としての抗生物質、抗ウイルス剤の開発、また予防のための各種ワクチンが開発されて感染症を抑え込んでいます。

人口増加は負の課題を提起しています。
2050年には地球人口が100億を超えると予想され、食糧危機がおこることが危ぶまれています。
食糧の獲得の在り方が問題になります。
現在でも、地球温暖化で干ばつと水害、水産資源の変化などが問題となっています。
米、小麦、コーンなどの主食への影響だけでなく、それらを食料として育つ牛や豚、鶏など高騰、乳製品の不足などが起こっています。

しかし一方では、今でも、いつでも、どこでも、好きなものが口に入ります。
夏野菜のきゅうりやトマトはいつもサラダに!
アメリカ産のオレンジが日本の食卓に!
これらが成り立つには、輸送のための費用、ハウス栽培のための膨大なエネルギーが使われています。
決して持続可能な世界であるとは想像できません。

持続可能な世界を目指すには、人々の欲望を制限するようなことが必要になってくる予感があります。

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