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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/07/19 

Vol.222 「尊厳」②

執筆 名誉院長 早川富博

「尊厳」を大事にすることは、どのような場面でも必要です。
自分の言葉や態度が相手を貶めていないか?
もしそういう状態があれば、意図していなくても、罪に問われることもあります。
自分ではそれと気付かなくとも、相手の尊厳を傷つければ、最悪は犯罪として罰せられることになります。
いじめ、パワハラやセクハラは、これに相当します。

医療・介護の場面でも、尊厳が重要になっているのは当然のことです。
介護が必要になると、どうしても、人の尊厳や自尊心が傷つきやすい状態になります。
これは、あと一歩で、尊厳が破られるということです。
だからこそ、介護を提供する側には、相手の尊厳を守る、すなわち、相手にみじめな思いをさせないことが求められているわけです。

そう考えると「介護は誰にでもできる仕事」という、世間に定着してしまっているイメージが、いかに間違いであるかもはっきりします。
介護のプロは、介護技術やコミュニケーションだけでなく、破綻しそうになっている人間の尊厳を守るスペシャリストなのです。
このことは今後ますます、人々にとって貴重なスキルになっていくでしょう。

親子の間にも、まれに尊厳が損なわれる状況をみることがあります。
親子関係はそれぞれですが、その最終結果が、その人の最後の時に表れているように思います。
小生の最後の時にも尊厳が保たれるように、家族といえども、いや家族だからこそ、お互いの尊厳を守ることを心がけていきましょう(自戒)。

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