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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/10/11 

Vol.234 「みんな」

執筆 名誉院長 早川富博

「みんな」という言葉は都合がよく、かつ重宝です。
みんな持っているよ。みんな食べてるよ。みんな知ってるよ。などと使います。
わが子が小生に何かをねだられたとき、どうして欲しいのと聞くと、良く「みんな持ってるから」と言いました。

「みんな」で誰の事?娘の友達数名のことであるにも関わらず、「みんな」と表現するのです。
彼女にとっての「みんな」は、その時の彼女が知っている友人すべてを表しているのですが、客観的に見ればすべての子供ではないのです。「みんな」=ほとんどの人。

高校生の娘が、携帯が欲しいといったときの言葉も「みんな持っているから」。
あなたの言う「みんな」は数名の友達だけでしょ、と小生は抵抗しましたが、無駄でしたね。
「みんな」は曖昧な複数の人々を指すだけですが、それをあたかも大多数のように誤解するように仕向ける言葉ですね。
「皆さん」という言葉は、主に呼びかけるときに使います。
アジル時には「みんな」と友人に呼びかけるように言います。
複数人に呼びかけるときに「みんな」で、数名ならあなたたちでしょうか。

集団のスローガンには「みんなで頑張ろう」、「みんなで支え合おう」という風に使われます。
地域社会が分断された現在では「みんなで〇〇しよう!」は死語になっているようで残念です。

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