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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/10/25 

Vol.236 「AI」②

執筆 名誉院長 早川富博

前回、チャットGPTについて書きました。

では医学の世界でのAIの普及はどうでしょう?

今の研修医は、疾患の診断、治療方針などを調べるのにグーグルで検索します。
いかに早くグーグルかが良い研修医?? と戯言を言いたくなります。
50年前の医師に必要なこととして、文献を読むための英語力、標本を撮る写真撮影技術、がありました。
今は如何に早くグーグルか!表示されるリストから適切なものを選んで、次に進みます。
疾患が解れば、その治療ガイドラインなるものがすぐ検索できます。

ガイドラインに沿っていない治療は×です。ガイドラインは数年で変わります。
それは新しい治療(治験)の結果が論文かされることで、その内容を取り入れるからです。
どれを取捨選択するかはガイドラインを作る委員(偉い先生方)によって決定されます。
毎年のよう各疾患のガイドラインが更新されます。
人間の体は更新されませんが!

AIが医学に応用され始めています。CTの読影です。
何万人かのCT画像をAIに読みとらせて、それを基に異常陰影を見つけて診断するのです。
読影者の助けになりますね。血液データから診断が自動的に織り出されるかもしれません。
症例検討会で、血液データ、CTなどの画像、病歴などを基に診断にたどり着こうと議論しているわけですが、AIにかかると瞬時に可能性のある疾患名とその治療方法が提示されるかもしれません。

医師が行うべき診断・治療の補助になりますが、医師の基礎的な知識(医学部における基礎的な勉強)が不要になると予想されます。怖い話ですね。
コミュニケーション能力に長けた人なら簡単に偽医者になれますね。
便利さを追求すると、このようなことが実際に起きかねません。
人間が馬鹿になりますね。スマホの普及で、すでに前兆が表れていますか。

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