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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/11/01 

Vol.237 「AI」③

執筆 名誉院長 早川富博

先回、CT画像の読影とガイドラインについて書きました。
ガイドラインに沿った治療は大きな間違いがないのですが、患者さん個人の特性(年齢、生化学的なデータではない、社会的背景)は組み込まれていません。
最終的な治療方針は患者さんと医師とのコミュニケーションによって決定されるべきです(意思決定権)。

そのためには両者間の信頼の元での十分な情報公開と対話が必要です。
しかし、医師と患者さんとの間には情報の理解格差が歴然とあります。
グーグルで調べたガイドラインを読んでも、患者さんには理解できないことが多いでしょう。

医学的知識を持つ医師であれば、その内容を理解できます。
この情報の理解格差を是正することが医師の役割です。
しかしこれを達成することは至難の業ですね。
より知りたい患者さんには医学の基礎的内容(解剖、生理、生化学、薬理学、病理学など)から説明しなければなりません。
医学部の講義になってしまいますし、膨大な時間が必要となります。

では一般的にどうなるのでしょうか? 
医師と患者さんとの間に信頼関係があれば、ある程度の説明で納得されて、それまでの情報に基づいて自己決定を成されます。
信頼関係が非常に大事です。
AIが患者さんから信頼されるには時間がかかりそうですね。
話しあっている相手に愛情を感じるか? 

AIの声がいくら優しくても、いくら美人であっても、AIを愛することは出来ますか?

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