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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/04/10 

Vol.259 「ハラスメント」②パワハラ

執筆 名誉院長 早川富博

前回は怖い「セクハラ」について書きました。
今回はもっと恐ろしい「パワハラ」です。

パワーハラスメント:職場の上司による嫌がらせです。
これは多岐にわたります。
殴る蹴るなどの身体的な攻撃、侮辱・人格否定・叱責などの精神的なもの、集団で無視する人間関係の遮断、過度または過少な目標、私的なことをあげつらう、などです。
殴る蹴るなど暴力行為はもってのほかですが、過度の目標の要求もだめとなると、これでは部下の指導ができないと思われる方もいるでしょう。
合理的な業務指示や指導の範囲であれば「パワハラ」には相当しないと言われますが、合理的?の意味合い、解釈が難しいですね。

小生の大学での研修医時代(50年弱昔)の話。
週2~3回、研修の一環として胃透視レントゲン写真の読影会がありました。
その日に撮影された胃のレントゲン写真を前もって読影して既定の用紙にスケッチを記載するのです。
その成否について先輩からご教授願うのです。

優しい先輩は丁寧にスケッチの良し悪し、読影のポイントを踏まえてスケッチするようにと教えていただきましたが、怖い先輩は、所見用紙を「なんだ?この絵は!」と言って破られました。
その後、ねちねちと過度で長時間の叱責が続きました。
嫌な思い出です。こういう教育を受けて生きたので、小生の教育方法にも、時々「パワハラ」ようなものが顔を出すかもしれないという恐怖もあります。

医療現場での教育には、将に手取り足取りの状況です。
やり方が悪く危険があると判断すれば言葉でなくて、とっさのことに手でたたいたり足で蹴りを入れて制することもあります。
(言葉で「だめだ!」とすると患者さんに聞こえてしまいますので)
後できちんと説明はします。

手取り足取りの教育で難しいのは女性医師に対するときです。
足助病院も女性医師が増えてきたので時に戸惑うこともあります。
内視鏡の操作を教えるとき体の使い方、手や指の位置などを支持します。
当然、体に触れないと指導できません。

男性医師では気楽に体に触ってぐいぐい指導しますが、女性医師に対しては遠慮しながらとなります。
このことを女性医師にしたところ「私は全然平気です!」と元気な返事。
気が楽になると同時に、きちんとした話し合いが必要と思いました。

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