MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/07/17 

Vol.273 「お薬」②残薬

執筆 名誉院長 早川富博

中高年期から生活習慣病―高血圧症、糖尿病、高脂質血症などが発症します。
生活習慣病だけでは症状もなく、日常生活に影響はありませんが、この状態を放置すると、動脈硬化が進みます。
その結果として、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全へと進行し、心不全、片麻痺、浮腫など、日常生活に支障をきたす症状が起きます。

生活習慣病の予防のために、まず、食事療法が必要です。
糖尿病、高脂質血症の方々は、体重が多くて膝が痛くなることが多いのですが、食事療法が難しい人が多いように見受けられます。
食べ過ぎるとどこかが痛くなるようなことがあれば、食事を減らすことが出来るのですが、症状に乏しい生活習慣病では食事療法を維持・継続することが難しいのです。

そこで内服薬が必要となります。
この50年の間に多くの薬が開発されました。
とくに高血圧、糖尿病、高脂質血症の治療薬は飛躍的に進歩してきました。
平均寿命が延びた理由の一つに、生活習慣病に対する治療薬の効果があげられます。

しかしながらこの病気は自覚症状に欠けるので内服する薬についても不完全になることが多いようです。
つまり飲み忘れが多いのです。

年末に内服薬の整理を患者さんにお願いすると大体一か月分ぐらいの残薬があるようです。
10日に1回忘れると、年で1か月分余ることになりますね。
朝1回しか服用しない薬でもこれですから、毎食後の薬ではもっと残薬整理が必要ですね。

飲み忘れを防ぐために1日1回で済む薬の開発が進んでいます。
また仕事先で服用しやすいように、水なしでも服用可能な薬も開発されています。

しかしながら患者さんの意志で内服を中止されていることもあります。
血圧が上がってきたからやめた、おならが増えてきたので薬を止めた、などがあります。

止めた時は必ず担当医に告げることが必要です。
実は3か月間も飲んでませんと告白された経験もあります。
医師の方は、内服されている状態であると信じて診察や処方をしているわけですから、正直に話していただきたいものです。
患者さんと医師との間の良好なコミュニケーションが良い医療のもとですから。

コラム一覧へ戻る