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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/07/24 

Vol.274 「お薬」③ポリファーマシー

執筆 名誉院長 早川富博

前回、飲み忘れなどについて書きました。
老年になると、生活習慣病だけでなく、それに起因する種々の病気が出てきます。
そのため複数の医療機関で診療を受けてたくさんの薬を内服するようになります。
具体的には、高血圧症2剤、糖尿病で2剤、眠剤を1剤、腰痛・ひざ痛で鎮痛剤2剤、骨粗しょう症で1剤、これで7剤、さらに、めまいで耳鼻科から2剤、などありそうな話です。

ポリファーマシーという言葉があります。
これは単にたくさん薬を飲んでいるということではなくて、多剤服用下では適正でない組合わせによって有害事象が起こりやすいこと、飲み忘れがあって健康に悪影響を及ぼすなどの状況を示します。

有害事象を減らすには、まず飲み方の変更、すなわち1日3回から、朝夕の2回、さらに朝1回へとまとめること。
眠剤については少しずつ減量するようにすること。
薬以外の治療法(食事療法・運動療法が重要)への変更を考える、などがあげられます。

いずれにしても患者さんと医師との間での信頼関係に基づいた話し合いが必須です。
ポリファーマシー予防にお薬手帳も大変役に立ちます。
これまでに行政側(厚労省)の対策が取られています。

7剤以上の処方に対して処方箋料の減点がされてきました。
高齢になれば多疾患に対する服薬が必要になることも多く、処方している医師も知らず知らずのうちに(これでは困りますが)7剤以上の薬が処方されていることがあります。
そのため医療側・製薬会社は、2剤を1剤にする合剤、内服薬から貼付剤への変換などの対応を取っています。
経口剤から貼付剤への転換はとても大変です。

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