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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/07/31 

Vol.275 「お薬」④貼付剤

執筆 名誉院長 早川富博

前回、ポリファーマシーと、その対策の一つとして内服から貼付剤への転換があることを書きました。
貼付剤は張り薬ですから、普段は皆さん、腰痛、肩痛などに貼る消炎鎮痛剤を思い起こします。
すなわち痛いところへ貼る!が皆さんの頭にしっかっりと刷り込まれています。

そこで起こるよくある勘違い。
心臓の病気である狭心症治療薬の貼付剤が開発された当初、「この貼付剤は、貼ったところの皮膚から薬剤が吸収されて血液に入って効果が出ますよ」と説明しても、ほとんどの方が心臓周囲、すなわち左胸部に貼付されてました。

そのため同じ場所に毎日貼るので皮膚に炎症が出ることになります。
手のひら、足の裏、皮下脂肪の多い下腹部、臀部を除く場所に貼ってほしいのです。
二の腕、側胸部でも問題ありません。
肩痛があるから肩に貼られている人もみえましたが、ここは問題ありません。

狭心症用の貼付剤から始まり、喘息用、認知症用、不整脈用、麻薬に近い鎮痛剤などが続々開発されています。
貼付剤の利点は、ゆっくりと皮膚から吸収されるので、経口剤に比べ血中濃度が安定することであります。
また調子が悪くなれば剥がすことで済みます。

経口剤では一度服用するとある一定時間は吸収され続けます。
毎日服用が必要な薬としては、経口剤ですと内服後1-2時間で血中濃度がピークになり、その後徐々に低下します。
この繰り返しですので、毎日の血中濃度がのこぎりの歯状態になります。

しかし貼付剤の方は血中濃度のピークが低く抑えられ、安定した血中濃度が得やすいのです。
しかし欠点もあります。
貼付場所の皮膚炎です。
発赤やかゆみを伴いますので貼る場所を順次変える必要があります。

もう一つは、前日の貼付薬の剥がし忘れです。
診察時に2枚の貼付剤が貼ってあることを良く発見します。
また高齢者にとって、張り薬は貼ること自体が結構難しいようです。
貼付剤も発売以来形状に創意工夫が進んでいます。

それでも難しい時は担当医に相談を!

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