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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/01/08 

Vol.298 「肝醤油」

執筆 名誉院長 早川富博

「肝醤油」とは釣ったばかりのカワハギの肝から作ります。
冬場のカワハギの肝はパンパンに大きくなります。
カワハギのお腹を傷つけないように頭の付け根に包丁を入れて、背骨をガツンと切って、そのまま頭と胴体をもって開くと内臓が傷つかずに白くて柔らかい肝がみえます。
これを胃や腸からうまく用手剥離して、かつ胆のう(苦たま)をつぶさないようにはがして、塩水につけます。
しばらくつけておいてから、冷水から温めて沸騰して1分で上げ、冷水で再び〆ます。
それを包丁で叩いて細かくして出来上がりです。

醤油の量は好みで決めます。
別に用意した刺身を、この肝醤油で食べると本当に幸せです。
カワハギの肝は脂肪肝です。
フォアグラと同じでほとんどが脂肪分です。
うまみの成分は中性脂肪の脂肪酸とアミノ酸によって決まります。
そして少量の炭水化物がカワハギの肝には絶妙に混ざっているのでしょう。

肝を処理した後は、刺身の準備です。
カワハギは名前の通り、鱗がなく皮が簡単に向けます。
皮はワサビおろしのおろし金になります。
ですのでカワハギを料理するとしばらくスマホの指紋認証が出来なくなります。

皮を剥いだ後3枚におろし中骨も採り、5枚おろしとなります。
それから薄皮をひきます。
これが結構難しいのです。
しかしこれなしには美味しく刺身を肝醤油でいただけません。

昨年、作った刺身と肝醤油を父親にもっていったところ、美味しい!の連発で寿命が3年延びたといってました。(今年102歳の予定)

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