「四知」という言葉を宮城谷昌光氏の「三國志」で知りました。
文庫本で12巻に及ぶ宮城谷昌光氏の作品の集大成作です。その初章が「四知」です。
「四知」とは、後漢の楊震の言葉です。
彼が荊州刺史であったときに推挙した王蜜が、その後ある場所で楊震に面会して推挙のお礼として黄金を持参したときの楊震の言葉とされています。
清廉な楊震はお礼(賄賂ではないが)の黄金を受け取らないといいましたが、王蜜は「暮夜のことで誰も知りません」と返答しました。
それに対して楊震は「天知る、地知る、我知る、汝知る。誰も知らないとどうしていえるか!」と返します。
これが「四知」の語源です。
これを聞いて王蜜は黄金を懐にしまい羞恥のなか帰ります。悪行はその時は解らなくても、きっと露見するであろうと楊震は指摘しているのです。
そのような悪いことだけでなく、良きことも誰かが必ず見ていてくれる(四知)から、善行を継続することを自分自身に言い聞かせていることもわかります。
「天知る、地知る、我知る、汝知る。」
肝に銘じて生活したいものです。