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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/05/27 

Vol.61  「交換の論理」

執筆 名誉院長 早川富博

「交換の論理」とは、ギブ アンド テイク、与えると取る、物々交換、など色々な言葉としてよく使われるものです。
それは日常生活の中で、人と人の間、組織と組織との間で成立している重要なことです。
「交換の論理」は、普通に行われるコミュニケーションとして大事な論理で、そこで交換されるものは同等の価値でなければなりません。
ある商品を購入した場合、それに見合う料金を支払います。まさに見合う(同価値の)料金です。
そうでなければコミュニケーションは継続できません。
例えば購入したものが万が一不良品であって再交換不可能であれば、それは詐欺と言われます。

「交換」はもともと物々交換が基本でした。物の余剰が出て、物流が発達することによって利便性を高めるために貨幣が出てきました。
それからというもの、人の労働も金銭に換算されることになって現在に至っています。
すべてがお金に換算される世界になっていますが、お金に換算できないもの、または「お金で買えないもの」はあるのでしょうか?
すべての仕事もお金になって帰ってきます。給料・日給など、その多寡が当然重要です。
しかしお金だけが重要になってくると、なんとか沢山お金が儲かる(市場経済ではこれを効率がいという)という方向に進みます(もっと進むと騙してお金を儲けようとする詐欺が出てきます)。
市場原理の浸透で格差社会が問題になっています。社会的資本と言われる教育・医療・福祉・警察・防災・行政などは効率性を第一と考える市場経済に組み込まれないことが必要と考えられていますが、昨今の医師不足をみるとそのようにはいかないようです。
市場原理のおおもとである「交換の論理」だけでは、社会が立ち行かなくなることは解っているのですが、ではそれに対する考え方は? 「贈与」?
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