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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/09/23 

Vol.78  「補聴器」

執筆 名誉院長 早川富博

前回は難聴のはなしでした。
外来患者さんは長くお付き合いしている人が多いので、難聴の方も多くなりました。
9○歳の独居の女性。いつも娘さんが同伴で診察にみえます。
2週1回娘さんは様子見と買い物などの世話をしてみえます。
娘さんから同居を勧められているが、動けなくなるまで足助で生活したいという願いを持ってみえる。
日常生活は自立、が左耳に補聴器をつけてみえます。

小生 「お変わりないですか?」
患者さん「?」
少し大きな声で
小生 「聞こえますか?」
娘さん 「今朝新しい電池に入れ替えてきましたが,私も老眼だからプラスマイナスを間違えたかしら?
小生が補聴器を耳から外して、増幅機器部分のスイッチなどを触っても、ランプなどの点灯もない。
しかし耳穴に入れるイヤホン部分を見ると、少し汚れが・・
酒精綿で拭いても先端の黒いものはとれない。なんか詰まっているようだ。
小生 「大島さん(看護助手)、針を持ってきて!」
気が利く大島さんは注射針でなく縫い針を持参。
それで先端から穿ると細かな垢が取れてきました。
イヤホン先端の穴は2つに分かれ、一つは増幅器から、もう一つは外からの音が直接通じる穴になっていました(小生は今回,初めてまじまじと見ました)。
掃除ができたので改めて患者に装着してもらい、
小生 「聞こえますか?」
患者さん「よく聞こえる!」
補聴器があってないから聞こえないんだ!と早合点せずに、補聴器を診察することも大事!
皆さん耳掃除も大事ですが、道具の手入れも大事ですよ!
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