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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/11/25 

Vol.87  「両親のこと④」

執筆 名誉院長 早川富博

前回からの続きです。

母は便秘を訴えています。
ADLの低下、眠剤、抗不安薬の服用によって、腸の動きを当然低下しています。
その結果が便秘となります。
長く大腸内にとどまっているので便が固くなります。

治療の基本は食事と運動ですが、食べるものは限定され、運動も少ないので、薬剤に頼るようになります。
その前に、排便は2~3日に1回で十分と説明しても、これまでの習慣があるため、本人が受け入れません。

そして下剤の使用となります。
下剤には内服と座薬があります。
座薬は直接肛門から差し込んで直腸粘膜を刺激して排便を促します。
内服には、便自体を柔らかくするものと腸粘膜を刺激するものがあります。
古くから使用されている酸化マグネシウムは前者、ピンクのプルゼニドは後者です。
ラキソベロンも後者です。
刺激する薬は比較的強い感じがしますが、便を柔らかく薬(便の水分量を増やす)が最近沢山発売されて酸化マグネシウムに変わろうとしています。
便を柔らかくする薬も腸を刺激する薬も、とも使ってみないと解らないものなのです。
人によって反応が違いますので、薬の作用をよく理解して服用することが大事です。

では理想の排便は?
1日1回バナナのような便が1本。
母は1日でも便が出ないと訴えがあります。
便を柔らかく薬を2日連続で服用すると柔らかくなりすぎます。
1日おきに服用すれば2日に1回良い便がでるのですが、それでは不満となるのです。
不満があれば父は対応します。
結果、便が柔らかくなりすぎて大量の下痢便が紙おむつからあふれ出ます。
その後始末を父がします。
これが本当にストレスになっています。
しかし、母の下剤要望に父は抗し切れません。
母の現状を知っている小生は、その心情もよく理解できます。

つづく…
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