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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/12/09 

Vol.89  「両親のこと⑥」

執筆 名誉院長 早川富博

前回からの続きです。

母親が要介護になったこの数年間、大好きだった温泉に行けないことを聞いていたいので、母親の入院を機に、初めて父親と二人での猿投温泉に宿泊しました。
平日でしたので浴場は貸し切り状態。
見守りをかねて父親と一緒に浸かりました。

その後、夕食を食べながらの話。
(難聴のため会話に苦労しますが)
来院の道中はスムーズではなかったこと。
足助のバス停から足助病院まで歩くのに途中でめまいがあり、パレットに入って冷たいジュースを買って休んでから来たとのこと。
持参したリュックサックは重く、その中身は着替えだけでなく、バナナ4本、種無し巨峰、いつも食べているヨーグルトなどでした。
「どうしてこんなものを運んできたの?」
「病院食が食べられないといけないので、いつも朝食べているものを食べさせたいと思って持ってきた。」
毎日の生活習慣を大事にしたいという父親の性格と愛情がよく出ているので感心しましたが、よく考えれば、バナナやヨーグルトは病院の売店で調達できるのです。
しかし、遠路はるばる来た父親の好意も、母親の反応は良くなかったようであまり見向きもせず、うれしそうな顔もしなかったようです(長年の鎮静剤服用と認知症のため感情が抑えられている)。

つづく…
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