MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/12/16 

Vol.90  「両親のこと⑦」

執筆 名誉院長 早川富博

前回からの続きです。

そのようなことを話しながら夕食は進み、焙烙焼の肉が3切れ出てきました。
小生はほぼ満腹状態でしたが、父親は健啖でもりもり食べていました。
最後の一切れを飲み込もうとしたときに、何やらのどにつかえたようで1分ほど苦しんでいました。
やっと声が出るようになって
「どうしたの?大丈夫か?」と聞いたら
「最後の一切れが固かったので噛み切れず無理に飲み込んだら下がっていかなかった」
「なんで無理に飲み込んだの?」
「いざとなれば医者のお前がいるから何とかしてくれるだろうと思った」
「??」
一大事にならずに済んだと笑いながら部屋へ。

翌日の帰り方の方法を話し合いました。
本人は大丈夫だから、バス停まで歩いて、バスに乗り、東岡崎から名鉄電車を利用して帰ると言い張りました。
翌日も天気が良く、暑くなることは予想できたので、名鉄バスの始発場所まで日の出タクシーを利用してほしい、
南安城駅から自宅まではタクシーを利用して、と頼みました。
「そんなに俺が一人で動くことが心配なのか?」
「今日、来る時が大変だったでしょ。」
「うーん。わかった。」
と不満そうでした。
一人前でないといわれ、年寄り扱いされたことが不満のようでした。

翌朝、タクシーを頼んだかどうか確認しようとホールに行くと、
「昨日の温泉と肉が効いて、今朝は体の調子がいいので歩いてバス停まで行く」と。
さすがに親父と、その頑固さと自立心の強さに感心、とともに諦めの気持ち。

つづく…
コラム一覧へ戻る