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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2021/01/05 

Vol.116  「ヘルシーダイエット(和食)」

執筆 足助病院職員

管理栄養士 川瀨文哉

新年あけましておめでとうございます、管理栄養士の川瀨です。
新年ということで、今年こそはダイエットという方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?
今回はいわゆる減量目的のダイエットではなく、ヘルシーダイエットについてご紹介します。

ヘルシーダイエットとは、 健康的な食事という意味です。
私はこのヘルシーダイエットについて研究を行っており、とても興味がありますのでこのコラムでいくつかご紹介できたらいいなと思っています。
今回は、 和食の健康への影響をご紹介します。
実は、和食に関する研究はあまり進んでいません。
なぜ日本が世界に誇る和食の研究が進まないのでしょうか?それは和食の特性にあります。
平成25年に和食はユネスコ無形文化遺産に登録され、そのときに和食の特徴として以下の4つが挙げられています。
(1) 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
(2) 健康的な食生活を支える栄養バランス
(3) 自然の美しさや季節の移ろいの表現
(4) 正月などの年中行事との密接な関わり
研究の世界では定量的(きちんと量をはかることができる)なものが好まれる傾向がありますが、和食の特徴である多様で新鮮な食材や自然の美しさなどは数値化できませんよね。
また「いんげんのゴママヨネーズ和え」は和食でしょうか?
このように他の食文化の良い所を寛容に受け入れるところも和食の特徴です。このような背景から和食に関する研究はあまり進んでいませんでした.
しかし、最近いくつかの研究グループから報告が出てきましたので少し紹介します。
まず東北大学のグループです。
このグループでは和食を米、 味噌汁、 魚介類、野菜、海藻、漬物、お茶をたくさん食べ、その一方で肉・コーヒーはあまり食べない食習慣であると定義しています。
高齢者を調査した研究ではより和食的な食生活の場合、 介護などを必要として生活するリスクが13%低下することが明らかになりました。
また、 日本人の成人9万人以上を対象とした研究ではより和食的な食生活をした場合、死亡リスクが14%低下していることが明らかになりました。

私たちの研究グループでも和食に関する報告をしています。
私たちの研究グループでは、 和食を米・ 魚・ 大豆・ 野菜・ 卵・ 海藻を多く食べ、その一方で小麦・ 牛乳・ 肉をあまり食べない食習慣であると定義しました。
その結果、 世界130か国を超える国での食料需給表を用いた調査により。
より和食的な国では肥満率が少なく、心臓病が少なく、健康寿命が長いことが明らかになりました。
まだまだ研究結果は少ないですが、和食が健康に良さそうだということは少しずつわかってきました。
最近では食の欧米化で和食的な食生活をする人が少なくなってきたともいわれています。
私たちもさらに和食に関する研究を進めていますのでまたご報告しますね。
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