診療協同部長兼薬剤部長 野村賢一
孤独は孤立ではないと悟った二十二時、自宅の小部屋で五百ミリリットルのストロング系酎ハイのプルタブを引き上げグイっと胃袋に流す。
いつから呼ぶようになったのか、小部屋のことを「ひとりポジティブカフェ」と称するようになった。
何もこんな仰々しい名をつける必要もないが、ひとり酒というのは演歌の歌詞にもあるように、寂しい、悲しい、侘しい、というネガティブなイメージが滲んでいるゆえ、その感覚を反転させたくて勝手に付けたのだ。
どんな時にカフェの扉を叩くかというと、いま、ちょっと気分が晴れないな、と気づく瞬間、あるいは生きているのなら、めげるのなんて当たり前、何か失うものあるかよ、と軽く自分に切れてみたりするが、こんなむしゃくしゃする機嫌のときに、である。
うまくいかない原因をいちいち考えるの、やめよう。うまくいっているもの、数えあげよう。得意とするもので周りいっぱいにしよう。
まず自信持つことが大事。ダメなものばかり気にしていたら、伸びる前に枯れてしまう。長所伸ばせば自ずと短所は消える。自分をおだてる、天才目指せ、と。
もし迷っているなら、チャンスの十字路にいると思え。右にそれるか左に行くか前に進むか来た道を一度戻るか。どこかの先にチャンスがあると思えばポジティブになる。迷ったのには意味があるのだと前向きに考え、人はいくつもの十字路で悩むが、それは全てチャンスの十字路だ、と。
人生いいことばかりじゃないけど、悪いことばかりでもない。山あり谷ありだけど、谷、谷、谷ばかりが続くこともない。
どん底に立つと這い上がるしかない。苦しくなると深い足助の谷底に行き、どん底じゃー、と叫ぶ。そうすると這い上がれる気がしないか。どん底じゃー!と。
いい人でいたいけど、いつも笑顔できないし、頭を下げられないし、妥協できないし、でも怒りたくないし、最後はうまく着地させなきゃならないし、人間はたいへん。でも、楽しく生きたいしね。だから多少は我慢するのだよ。満員電車、ちょっとずつつめたら、もう一人座れる。あれだよ、と。
寝る前に「よく生きました」と自分を褒めてあげたらいい。その頑張った身体を、頑張った心と魂をいたわってあげられるのは自分だけ。人間はみな生まれてからずっと「チーム自分」なんだ。今日もいろいろあったけど、なんとかのりきった「チーム自分」に感謝しよう、と。
小部屋の中で立ち直るためにこんなツイートで音楽を聴きながら気分を変えている。いろいろな悩み事に遭遇するのが人生当たり前だと思うと、自分で自分を発奮させ、やる気にさせるしかないことに気付く。やり残したことは明日がきっと引き受けてくれると期待して。
何やらそうこうしているうちに酔いも深まり酩酊となる頃、「ひとりポジティブカフェ」はクローズとなる。
さぁ、みなさんも今日という現実を乗り越えるため、れっつ・ぽじてぃぶ!たまには自分にエールを送ろう、大きな声で、れっつ・ぽじてぃぶ・えいえいおー!感謝と笑顔で今日を締めくくり、ありがとうで明日を迎えようか。
さようなら!