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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/02/06 

Vol.277 「和の心」

執筆 足助病院職員

企画室長兼事務管理室長 日比敦郎

先日、とあるイベントで和菓子作り体験と茶道に触れる機会がありました。
イベント前半は和菓子作り体験です。
練りきりとあんこ玉で「寒椿」と「うぐいす」の2品作りました。
講師の先生が「冬に咲く赤い花と言えば?」という質問をされ、長女が指名されました。
どうせ答えられないだろうなと、意味不明な上から目線で見ていると、
「う~ん、さざんかかなぁ・・」
などという親もビックリの答えだったので、本当に自分の娘なのかと疑ってしまいました。
先生も「まさかこんな渋い回答をいただけるとは思いませんでした。さざんかと寒椿は本当によく似ています。和菓子の世界では両方作りますよ!」
と話を広げてくださいました。
ちなみに父親は「う~ん、梅かなぁ・・・」などとボケにもならない愚かな回答を心の中でしておりました。注)赤いのは梅干しであって、梅の花は白です。

そうこうするうちに実演です。
作業自体は思ったより単純なのですが、単純なだけに難易度が高いです。
それっぽいものは出来上がりますが、見栄えが全然違います(当たり前です)。
ちなみにさざんかと椿の違いは花弁の中の雄しべが開いているか筒状に閉じているかだそうです。(開いている方がさざんかです)
和菓子の世界では、ここだけで違いを表現するのだとか・・繊細で奥が深いですね。
花自体は栗きんとんのように茶巾で絞って表現します。
先生の助けもあり、なんとか花っぽい和菓子が出来上がりました。娘たちもきちんと花になっていました。
もう一品はうぐいすです。緑と白の練りきりを重ねて作ります。
うぐいすは生き物なので、緑と白の境界線を指でなぞってグラデーションにします。
くちばしを繊細な指遣いで表現し、眼はゴマを一粒配置します。
ん?一つ?と思っていると、先生から
「眼は二つかと思われるかもしれませんが、和菓子職人は一方の視点だけで勝負します。眼をふたつ置かないと表現できないのですか?という世界なのです。」
と解説され、感嘆いたしました。
生き物なので、尻尾の部分を上向きにして元気さを出すとか、痩せていては弱々しいのでふっくらさせるとか、一つの和菓子に対するテーマがシンプルながらも本当に奥深く繊細で、これぞ「和の心」と思わせるものでした。写真のアップが禁止されているので、お見せできないのが残念ですが、和菓子を通じてささやかながら芸術作品を作ることができました。
普段、和菓子に触れる機会が少なかったのですが、今後和菓子を積極的にもてなしや自己の楽しみに取り入れていこうと思うイベントでした。
そして何よりそう思わせるのは、講師のトーク力と人間力が素晴らしいからだと思います。人に何かを伝えたいときに磨いておきたいものです。
とてもよいブランディングに触れられました。長くなってしまいましたので、茶道についてはまた来週お伝えします。
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