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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/07/30 

Vol.30  「線香花火の光りはどこまで届く」

執筆 足助病院職員

薬剤部長兼診療協同部長 野村 賢一

愛知県厚生連の中で最も小さな病院となる足助病院ですが、足助病院は小林院長の号令のもと「想う医療」で地域と病院が混然一体となり、超高齢化社会での一つのお手本となるべく、医療体制を構築しようと大きな希望を抱え走り始めました。
むろん、地域の人々に愛される病院づくりはこれまでの前院長時代の、三河中山間地域で安心して暮らし続けるための医療の提供を継承する上での更なる飛躍を目指すものです。
もともと山村の足助病院は、街にある大型病院のようなテレビドラマに出てくる救急救命センターや超急性期医療などありません。
高度医療を提供しようとも医師不足は恒常的な問題となっており、最新鋭の大型医療器械などあろうはずもありません。
しかし、たとえ高度医療ができなくても地域医療を守るべく、足助病院職員としての矜持と希望は計り知れないものがあります。
この地区の足助病院で超高齢化社会での医療の在り方のお手本ができたならば、それを全国の人に認知してもらいたい、と希求してやまないからです。

今年も夏が近づいてまいりました。
打ち上げ花火や噴出花火など花火といえば音が派手なものも多いですが、他の花火にはない静かに弾ける線香花火は昔から多くの人に親しまれてきました。
急性期医療を担う大型病院を打ち上げ花火とするならば、足助病院の花火は線香花火で地味ではありますが、それでも見るものの心にじーんと情緒を残す光りではないかと思っております。
組織が小さいゆえに集合しやすく、これは線香花火に火を点けると火の玉ができるように丸くなりやすい、そんな風にも思えて仕方ないのです。
組織が小さいということは日々の暮らしを続けていくには、集まって助け合っていくことが存続するのには最良の手段となりますから。職員はそのことを無意識の中で心得ているのですね。
ならば、その火の玉の中にいる各々の職員がピカピカと飛び出して輝けば夜空に咲く大輪の花火にはない可憐な美しい光りを放つことができます。
超高齢化社会での医療の在り方のお手本が足助病院で完成したとき、その光りは線香花火のごとく世間に認知されるものかと小生は胸を高鳴らせております。
今年も暑い夏になるかと思いますが、今後とも足助病院をよろしくお願いいたします。


追伸
病院ホームページがリニューアルされました。ささやかではありますがFacebookとコラムコーナに集まる想いの筆はまるで線香花火のはぜる光りと同じで外の世界に向けて発信されております。
名誉院長は長老として経験豊かな指南者の視点で、新院長にいたっては週に2回、情熱的な力強さで指揮者としての想いでコラムを綴っておられます。
多くの職員やゲストさんも日々の暮らしでの出来事を書き留めこのコラムに投稿されておられます。
どんな花形で、たとえば、牡丹、松葉、散り菊のような形で線香花火としての文章が光るのでしょうか。
粛々と光りを放ちつつ、いつしか全国に認知される病院目指し精進しながら着実に歩んでいきたいと思います。
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