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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/07/02 

Vol.302 「災害と向き合う その4」

執筆 足助病院職員

企画室長兼事務管理室長 日比敦郎

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2018年10月、私は企画係長兼経理係長として足助病院に赴任しました。
前任者が大変優秀な職員で、事務部の柱となっていたのに、後任が私で大変申し訳ない思いで赴任した記憶があります。
赴任して間もなく、院内で防災士資格取得の話が持ち上がりました。
職員の信頼を早く得たいという思いもあり、また前任では防災関連業務を行っていたこともあったので能動的に取り組みました。
試験も無事に合格し、防災士資格を取得するとともに、その副産物として「ボランティアコーディネーター」という認定資格も取得しました。

2018年は西日本豪雨災害が発生しています。当院職員は有志で岡山県真備町を視察し、現地の状況を確認してきました。
私にとって、災害被災者の生の声を聴き、その被害の状況を日常生活レベルまで落とし込んで確認するということは初めての経験でした。
決壊した堤防の修復跡や、柱と屋根だけになってしまった家屋などを見ると胸が痛みました。
さらに印象に残ったのはボランティア活動の現場でした。
真備町ではボランティアを行ったわけではなく、その現場の視察を行いました。
会場では写真の洗浄を行っていました。
被災家屋の後片付けなどはボランティア活動の代表的なものだと認識していましたが、この写真洗浄という活動はまったく存じ上げませんでした。
災害復興の過程で見つかった写真を丁寧に洗い上げ、持ち主あるいは遺族のもとへ返すボランティアです。
PCなどのハードディスクは浸水で全てデータが消えてしまいますが、写真は泥を除去すれば再び甦る可能性があるのです。
実際、洗浄した写真を納品すると涙を流して喜ばれるケースが多いのだそうです。
ボランティアコーディネーターという仕事は、貢献したいと思う方と助けを求めている人あるいは潜在的に苦しんでいる人の心を掬う(救う)尊いものだと思います。

私が災害と向き合うにあたり、「カネ」や「モノ」ではなく、「ヒト」を意識し始めたのはこの頃あたりだったでしょうか・・

続く
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