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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2019/08/06 

Vol.31  「高校球児の覚悟」

執筆 足助病院職員

企画係長兼経理係長 日比敦郎

今年も甲子園の季節がやってきました。
私自身、小学2年から高校3年まで野球ばかりやってきた人間なので、毎年録画した気になるカードを深夜まで見てしまい、そのままリビングで朝を迎えることも稀に(しばしば)あります。
「甲子園にはドラマがある」「負けたら終わり」などと、感動を煽る言葉がメディアを賑わせます。
テレビで見ていると、時に大差がついてしまう試合もあります。「熱闘甲子園」などを見ていると、負けチームの最終回の攻撃がクローズアップされ、最後のバッターが一塁にヘッドスライディングしたまま起き上がれない・・感動的ですね、私も今まさにキーボードを叩きながら、そんな光景を思い浮かべるだけで涙が溢れてきます。
きっと隣に座っている私の部下は「なんでこの人泣いてるんだろう」と怪訝な表情だと思います。

ここで、みなさんにお伝えしたい甲子園のもう一つの見方があります。
確かに最終回の攻撃や試合終了の瞬間などは感動的なシーンが多いですが、是非とも「負けているチームの最後の守備イニング」をご覧いただきたいのです。
野球というスポーツはサヨナラゲームを除き、負けているチームの攻撃が終了したら試合終了です。さらに特徴的なのは、攻撃側はランナーがいない限り1人で攻めますが、守備側は9人で守ります。
つまり最後の守備イニングはチームで野球ができる最後の機会なのです。
もちろん僅差の試合ではそのような気持ちは持たないですが、ある程度点差が付いたりすると彼らも百戦錬磨の野球選手です、イニングが進んだ段階で試合の流れを感じ取り、負けを「覚悟」します。

すると、彼らの顔つきが変わるのです。
「覚悟」した高校球児は、非常に晴れやかな表情をしています。是非彼らの表情の変化をテレビでご覧ください。
それまでの試合展開からは想像もつかないような、伸びのあるストレートを投げ込んだり、プロ選手顔負けのファインプレーが起こったり、試合開始から見たからこそ感じ取れる感動が、この「最後の守備イニング」にたくさん隠れています。
その素晴らしいプレー・投球の数々が、彼らが約2年半かけて培ってきた練習の成果なのです。
その努力に想いを馳せ、そんなプレーを目の当たりにしたときの感動は何とも言えないものがあります。
私自身は夏の予選でサヨナラ負けをしてしまったので、この覚悟を経験できなかったのが残念です。しかしサヨナラ負けの経験もまた、人生の糧となっていることは確かです。

もう駄目です・・ディスプレイが霞んできたのでこの辺で・・・
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