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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/11/26 

Vol.323 「手紙」

執筆 足助病院職員

企画課長 磯野宏樹

ある夏の日です。郵便受けを覗いてみると一通の手紙が入っていました。
伯母からで、「まだ暑いけど体調を崩していませんか、○○ちゃんは元気で○○で暮らしています、○○君は○○で働いています」等、
親戚の近況が達筆な文字で記載されていました。

伯母は足助地区に住んでいます。
伯母の家へは、子供のころ、父親に連れられながら年に1、2回程度帰省していました。
優しい伯母が大好きで、カラオケを歌ってはお駄賃をもらっていたことを覚えています。
私が小学1年生の時に父親が病気がちになって以来、全く疎遠になってしまっていました。
したがって、冒頭に登場した○○ちゃんや○○君とは子供のころ遊んだっきりです。
下手すれば向こうが知らない可能性すらあります。

早速伯母への手紙の返事を書こうと思いましたが、
ふと我が家にある封筒は郵便番号が5桁時代(!)のものであることに気が付きました。
そもそも手紙自体何年振りにもらったことか。
便せん、封筒、切手を買ってこなければなりません。
それどころかどんなことを書こうか、文章の構成を検討しなければいけません。
パソコンが勝手に漢字変換してくれるので漢字がなかなか出てきません。

今はラインや電子メールといったような便利なツールがあるので、
深く考えずに「ちょっといい?」と瞬時に相談やトークをすることができますが、手紙はそうはいきません。
こちらが書いてポストに出しても瞬時に向こうに届くわけではなく、向こうに届いたときには既に事情が変わっている可能性もあります。

しかし、必ずしも不便とは限りません。
あの人はこの手紙にどれだけの時間を割いて、自分を想ってくれたのだろう。
自分はどんな便せんを使ってどういうことを書こうかな。
時間がかかる分、想像も働きます。
昔の方々はこういうちょっとしたドキドキ感を味わっていたんですね。
ある意味、現代の私たちはこういった感性を磨くことを放棄してしまっているとも言えます。

さてさて伯母への手紙は無事送ったわけですが、返信がないので果たして私なりの想いが伝わったかどうかわかりません。
足助病院に転勤もしたことですし、この年末にでもご挨拶に伺おうかな。
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