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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/05/13 

Vol.343 「黒電話」

執筆 足助病院職員

企画課長 磯野宏樹

先日大掃除をしていましたら奥から黒電話が出てまいりました。
実は数年前まで我が家では現役でした。
黒電話って今の子はわかりますでしょうか。
そもそもかけることができますでしょうか。

今ではすっかり「ひとりスマホ(携帯電話)一台」という時代になりましたが、自分が子供のころは黒電話で連絡を取るのが当たり前でした。
友達に電話をしようと思ったら、まずは相手の親に挨拶をしなきゃいけません。特に女子の家に電話をかけるときはとても緊張したものです。

親世代の曲ですが、小林明子さんの「恋に落ちて」という曲の歌詞に
ダイアル回して 手を止めた というフレーズがあります。
少なくともダイアルを回しながら、ためらいをもたらす時間がそこにはありました。
ドキドキしながら、または少し不安になりながら。
黒電話のダイアルは、それぞれの人生に短いけれども考える間を与えてくれたような気がします。

途中で戸惑ったりして調べたりしていると、“時間切れ”になって、また最初からダイアルしないといけなかったですよね。
保留なんて機能はなくて、電話を取り次ぐときはその人の元まで走るしかありませんでした。
そして受話器は非常に重かった!
コードをくるくる指に巻いて…話は尽きません!!

もちろん進歩することを怠ってはいけませんが、
このような文化がなくなっていくのは少し寂しいような気がします。
救急・消防が119番に設定されているのはなぜか?
なんていうエピソードももう死語なのでしょうね。
そんなことを思いながら、黒電話をまた奥にしまったのでした。
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