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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/11/18 

Vol.369 「相馬眼」

執筆 足助病院職員

企画室長兼事務管理室長 日比敦郎

先日、相馬眼を養うというセミナーに参加しました。
私の役職からして、「有能な部下を見つけて組織貢献に繋げる」みたいな内容のセミナーかと思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、それは少々買いかぶりすぎです。
その名の通り「レースで好走する馬を見つける」セミナーです。
そうです!パドック診断できる観察力を勉強するものです!
競馬初心者の方にパドックについて簡単に説明しますと、パドックは競馬場でレース前に馬と騎手が周回する場所であり、馬の体調や気配、歩様を観察し、馬券購入の参考にするために訪れる場所です。
私はこれまで馬券検討ではパドックを一切考慮してこなかった人ですので、パドック診断は超初心者です。※とは言え、馬券もろくに当たらないので競馬自体も初心者なのですが。
実はこのイベント、以前山梨でホーストレッキング体験をしたときのクラブハウスの企画なのです。
パドック研究なのでてっきりどこかのスポーツ新聞お抱えの競馬関係者がレクチャーしそうなものですが、今回乗馬のインストラクターが馬の調子や歩様のチェックポイントを教えてくれるものだったのです。
従って、毎日馬の世話をしている方がその視点で教えてくれるので、調子が良い時と言うよりも、どこかに痛みを抱えていたり明らかに疲れていたりする馬の見つけ方が中心となりました。
実はこの視点は私にとってとても重要なのです。過去実績などで、人気を集めていても体調面で不安があるのが分かれば、穴党の私にとってはチャンスなのです。
ということで寒空の下、雨が降る東京の大井競馬場まで行ってきました。
大井競馬場は冬季を除きナイター開催で、地方競馬場で唯一国際G1レースが開催されるほど広い競馬場です。夜は綺麗な照明とイルミネーションで彩られ、仕事終わりの社会人がたくさん観戦に訪れるところです。
そんな悪天候の中、パドックを見つめ続け、Bluetoothイヤホンで解説を聴き、自分なりに良い馬悪い馬を決めて、馬券購入(任意です)に繋げるという行程を12レース続けました。パドックの近くに「銀だこ」があり、途中その誘惑に負けて銀だことノンアルコールビールを掻き込みながらレースを見に行くという、あわただしい6時間で疲労困憊となりました。
この日は比較的人気通りのレースが多く、馬券的には旨味がありませんでしたが、1レースだけ1番人気馬の歩様が明らかにおかしく、疲れが溜まっているようでした。ほかの受講者さんも口を揃えておかしいねと言っていました。
案の定、その馬は人気を抱えて飛んでしまいました。馬券については他の軸馬がいないため買えませんでしたが、微妙な荒れ方でした。

自分の予想軸を変えるつもりはありませんが、馬券検討ではどうしても人気どころの取捨選択という作業はついて回ります。
その予想ファクターがひとつ増えたのはとても大きな収穫でした。とは言え、人気で飛ぶ馬が分かったところで勝てるほど競馬は甘くありません・・。
結局、相馬眼というのは自分の限界を見定めることなのか?いやいや限界は自分で決めるものではない?
この人生のパラドックスについて考えさせられながら帰路に着きました。

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