MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/08/07 

Vol.412 「絶対相利共生」

執筆 院長 小林真哉

また、何とも難しそうな…文言を取り上げたな…と思いの方はもうすでに私のコラムの愛読者ですね。
令和2年の職員向けスローガンは『共想して共創する』でした。
最終的には共に生きるわけですから、共想して共創して共生するわけです。
この共生には様々な形態があるというお話です。

そもそも〝相利共生〟とは相互利益を与え合う関係で、共に利益が生じます。
良く知られている事象に、昔、理科で習ったアリとアブラムシの関係があります。
天敵であるテントウムシを追い払ってもらい、アリはアブラムシが分泌する糖液をもらいます。
〝片利共生〟は、一方は利益を享受するがもう一方には利益も害もないケースです。
コバンザメとジンベエザメの関係が有名です。

コラムタイトルは〝相利共生〟の頭に〝絶対〟が付くので切っても切れない関係性だということがわかります。
その代表的なケースにイチジクとイチジクコバチなのです。
イチジク? いちじく? 無花果?

イチジクと言えば、足助病院パティオで早川名誉院長が大切に育てている樹
木ですので、ハチ駆除がご法度なのかどうかも含めて深掘りしてみます。

どうも、イチジクにはオスの木とメスの木が有り、イチジクコバチが花粉を運ぶことで受粉し種子をつくります。
つまり、イチジクコバチなしにはイチジクは子孫が残せませんし、イチジクコバチもイチジクの実に卵を産むので、イチジクなしでは子孫が残せないのです。
なので〝絶対相利共生〟なのです。

となると、早川先生のイチジクはメスなのか?といろいろ考えてみましたが、
もう少し調べてみますと、日本で栽培されているいちじくは「単為結果性」の品種なので受粉なしで実をつけるようです。
かつ、日本の気候ではイチジクコバチが生息できず、国産のいちじくにハチさんは無関係でした。

病院のイチジクは昨年の枝打ちにかかわらず、葉が生い茂って参りましたのでまた、実がなることでしょう。

単為結果性:何らかの要因によって受粉が妨げられ種子が形成されない場合でも果実が正常に肥大・成熟する性質
※ 無.花果:イチジクが花を咲かさずに実を付けるためとされています。実の中の白いプチプチが花だそうです。

コラム一覧へ戻る