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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2023/08/17 

Vol.415 「一を聞いて十を聞く?」

執筆 院長 小林真哉

ん?かつては「一を聞いて十を知る」の私だったのですが・・・
足助病院職員の「院長! 謙虚に!」の叫び声が響き渡っていますが・・・

今日はそのツッコミのお話ではありませんのでご安心ください。
ことわざの意味合いは、〝物事の一端を聞いて、その全体像を理解すること、又はその能力〟ということはよろしいかと思います。
少し、ほっこりする小話です。

私が嘱託医として訪れている某老健施設での職員さんとのやり取りです。
各部屋を診療に回りながら職員さんに仕事上の段取りの取り方、お互いの理解のずれ等について相談を受けてのアドバイスしていた状況下の出来事です。

私「そうなのだよ・・・皆が一を聞いて十を知るという訳にはいかないのが社会だよ。だから、相手の視点に立ち返り聞き取ったり、伝えたりすることがいいのではないかな。あまり、突き詰めずいい塩梅ですることも大切ですよ」

職員さん「院長先生ありがとうございました!私!わかりました!
一を聞いて十を聞くがいいのですね。そうかそうか・・・わかっちゃった!」
私「・・・一を聞いて十を聞いちゃいかんよ。せめて一を聞いて一を知って!」
職員さん「えっ ・・・・・」

その会話のやりとりを車いすに乗り、ニコニコ聴いていた妙齢の御姉様入所者さんが私にすっと近づき一言おっしゃりました。
「あんた、ご苦労様だね。そんなところでしゃべっとらんとこっちおいでぇ。
まだ、うちの男衆が来とらんと家に上がってゆっくりして行きんしゃい」と
やさしく勧められたその指し示す先には、その方が今まで休んでいたまだぬくもり残る介護ベットが鎮座していたのでした。

私「うん、ありがとう。今日はまだ他の用事があるのでまたの機会にね」と
丁寧にお断りしてその場を後にする私に届いた会話は別の職員さんの

「○○さん・・・あの人、足助病院の院長先生だよ」
御姉様「ほか、ほか、ご苦労さん、ご苦労さん」

なんとも癒されるほのぼのとした施設内での一コマをご紹介いたしました。

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