MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/07/04 

Vol.499 「紫式部からの…」

執筆 院長 小林真哉

紫草の紫根

2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』は、平安時代に書かれた小説:源氏物語の著者・紫式部を吉高由里子さんが演じる素敵な物語です。

『おっ? 今日のコラムは、時代ネタ?読書ネタ? TVネタ?』といろいろ思惑を巡らしていただくのも私のコラムのバリエーションの多さの証ですかね? 
今日は作者の名の通り、色ネタ・紫についてです。

紫といえば! 足助病院の外壁の色である至極色に深く関わります。
至極色(しごくいろ)は、極めて黒に近い深い赤紫色のことで『深紫(こきむらさき)』の別名です。
元々、紫は高貴な色で聖徳太子が定めた冠位十二階の最上位の色でもありますが、『深紫』は、天皇、皇太子を除けば、臣下の最も官位を極めた者のみが着用を許された別格の色で『至極色』と呼ばれるようになった色です。
その紫みを濃くするためにふんだんに使われた高価な植物が『紫根』なのです。
 
紫根は紫草の根のことで、染料に使われ黒っぽくわずかに紫を醸し出します。
紫草はかつて薬にも使われたりもしましたが、化学染料に押されたり環境の変化で衰退し、今は絶滅危惧種に指定されています。
歴史的には7~8世紀の頃、直入郡三宅郷(竹田市)は紫草(紫根)の産地であり栽培環境に適し土質も良いことからかつて紫土知とも書く現在の大分県竹田市志土知で、栽培が復活したそうです。
伝統を守ることって大切ですね。足助の町並みも様々な方々の想いで保存されているのだと改めて想わされました。




ちなみに、志土知には、紫草(紫根)にゆかりの深い紫八幡社もあり、いつの日か、職員と足助病院の写真持参で訪れてみたいものだと思います。


※紫草 ムラサキ目ムラサキ科ムラサキ属の多年草で、万葉集に詠われるほど歴史が古く、その根を紫根(シコン)と言う。紫根は、濃紫の染料のほか、抗炎症や皮膚再生作用が高いことから生薬としても珍重されてきた(成分名は「シコニン」)。
足助病院コラム

コラム一覧へ戻る