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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/08/01 

Vol.506 「糖度」

執筆 院長 小林真哉

先日、友人との会食での会話です。
少々時間があったので、時間つぶしと涼を求めてスーパーに寄りました。
旬の野菜は何だろうかと野菜コーナーをウロウロしていた時に、魅力的な果物の展示列に行き当たりました。
最近は、いわゆるカットフルーツも多く、季節柄、スイカが多く陳列されていたのですが、10.7、10.5、10.8などの表示です。
最盛期の糖度では12-13の表示が散見されます。
糖度とは、果汁100gの中に糖分が何グラム含まれているかを表す数値のことで「Brix(ブリックス)」という値で表されます。
すいかなら9.0~13.0、メロン13.0~18.0、いちご8.0~15.0、桃12.0~15.0などが多いとされています。

一般に糖度が高ければ甘くておいしいと思われがちですが、フルーツには糖分以外にもたくさんの成分が含まれているため、一概に「糖度が高ければ甘い」とは言い切れないそうです。
同じ糖度でも私たちが甘さの感じ方に差があるのは、果物によって糖以外の成分の含有量が大きく異なるためで、例えば、レモンは糖度が7.0~10.0でイチゴと同じくらいなものもありますが、レモンは糖分よりもクエン酸が豊富に含まれているため、甘さよりもまず強烈なすっぱさを感じます。
糖酸比(糖度÷酸度)でいうと(12:1)がもっとも人間に好まれる味覚の比率だそうです。
一方、調理によっても変身するようで、サツマイモ8.0~12.0ですが美味しく焼き上げた焼いもは40.0~50.0に変化します。
ちなみに、さつまいもに含まれるβーアミラーゼという消化酵素が、加熱されて糊化したでん粉に作用して麦芽糖という甘味成分を生成するためです。

『甘くみるなよ!』なんて文言は、日常的によく利用されていますが、少し調べただけども味覚に関わる慣用句ありますね。
幾つかご紹介いたします。
甘い汁を吸う:苦労せず、他人の働きによる利益を自分のものにすること
脇が甘い:隙だらけで守りが弱い様子
甘く見る:たいしたことはないと軽く見て、あなどる
我が口に甘ければ人の口にも甘し:自分がよいと思うことは人にも施すべきであるということ
酸いも甘いも噛分ける:経験豊かで、人の心の繊細さも知り尽くしていること
待てば甘露の日和あり:待っていれば良い機会がめぐってくるというたとえ

すなわち、既得権益に安住せず、脇を締めて、物事の事象を軽視せず、人の身になって、豊富な経験を積み、焦らず精進をし続けることが肝要なのです!

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