今回の早川先生の受賞を契機に原点でもある作品を改めて読み直してみましたのでご紹介しておきます。
ご興味のある方は、是非お読みください。
『赤ひげ診療譚』(あかひげしんりょうたん)は、1958年『オール讀物』に連載され、翌年、文藝春秋新社より刊行された山本周五郎の連作短編8篇の時代小説です。
時代は江戸中期で若手医師・保本登と赤ひげこと新出去定を主人公とした小石川養生所で繰り広げられるヒューマンドラマ・人情物語です。
実在した江戸の町医者・小川笙船がモデルとされています。
映像・舞台化もいくつもされていて、1965年には『赤ひげ』として黒澤明監督、三船敏郎・加山雄三主演で映画化されて有名です。
この小説から、貧しい人から金銭を要求せず親切な医師などを「赤ひげ先生」と呼び、医師の理想の姿とされています。
医は仁術なりを地で行く医師を指します。
黒澤明監督の赤ひげでは、口数少なく無骨な養生所の医師、新出去定(にいで きょじょう)を赤ひげとして三船敏郎さんが演じています。
まあ、早川先生は口数も多く、無骨でもなく、髭もなく、スタイリシュですが現代の赤ひげにはピッタリですね。
同じく、主人公のもう一人は、長崎で医学を学び江戸へ戻ってきたばかりの青年医師の保本登(やすもと のぼる)で加山雄三さんが演じています。
足助病院を現代の小石川診療所と見立てれば、かつて大学病院から鼻息荒く赴任してきた私・小林が配役をいただけるのかもしれません。
確かに、2004年赴任当時、院長室によく意見を言いに早川先生を訪れていたことを思いだします。
そして今、足助病院では森半太夫役の多くの若手医師が活躍しています。
森半太夫は小石川養生所の医師で生真面目で、新出を尊敬している若手医師として描かれています。
足助病院が現代の赤ひげのいる病院に見えてきます。
赤ひげ診療譚では、赤ひげに反発しながらもその精神に感化され、医師として成長していく青年医師の保本登の姿が描かれています。
同時に、大らかに受け止め、背中で語る赤ひげこと去定の生きざまが素敵に描かれます。
ふと思いだしました、足助病院の地域医療の在り方・未来について熱く語っている私・小林を見つめながら早川先生がおっしゃった言葉を…
『そうだね! まあ思うつぼだね!』と‥‥‥