MENU
green

足助病院コラム

Asuke Hospital column

2025/01/27 

Vol.548 「もうひとつの大賞」

執筆 院長 小林真哉

『○○先生は、以前から〝やぶ医者〟だったんですよね~
 私もいずれは同じ道を歩みたいと精進していきます』
なんて満面の笑顔で言ったら、
「なんだかまた、意味の分からないことを言うね~ 院長先生は!」
と大多数の方は思いますね。
当然、深~い意味と素敵なネタがあることはコラム愛読者はご存じで、次の展開が楽しみですよね。
そうなんです。現代では下手な医者の代名詞のように使われることがある「藪(やぶ)医者」ですが、実は本来、名医を現す言葉なのです。
そして、その名医を表彰する賞に〝やぶ医者大賞〟があります。

江戸時代に活躍したとされる「養父(やぶ)にいた名医」であることにちなみ、兵庫県養父市が2014年に創設した大賞です。
「やぶ医者」の語源が「養父に住む名医」との説にちなみ、
兵庫県養父市が地域医療などの発展に寄与するためへき地の公的病院または診療所に5年以上勤務する50歳以下の医師が対象として、
若手医師の育成や医療過疎地域の医師確保、地域医療の発展に貢献したことを称える目的で創設されました。

ちなみに、なぜ、下手な医者の代名詞となったのでしょうか?
かつて、名医が但馬養父の地でひっそりと地域医療を行っており、重篤な病人を治し続けた評判が世に伝わり、多くの医者の卵が養父の名医の弟子となりました。
そのため、養父の名医の弟子と言えば、大いに信頼されたのです。
その「養父医者」名医ブランドを悪用する口先だけの医者が続出し、「養父医者」の名声は地に落ち、いつしか「薮」の字があてられ、ヘタな医者を意味するようになったとも言われています。

もう一つの説が、「やぶ」は「野巫(やぶ)」で、呪術治療を行っていた呪術医の通称で、根本的には病気を治すことのできなかったため、
「野巫」を「薮」「野夫」と表記して診断治療の下手な医者を「やぶ薬師」「やぶ医師」「やぶ医者」と呼ぶようになったというものです。

皆様ご理解いただけたものと思いますので、敢えて言わせていただきます。
赤ひげ大賞を受賞された早川先生は、昔から〝やぶ医者〟だったんですよ
 これから私も、その精神を受け継いで精進していきます』と!
〝赤ひげとやぶ医者のいる足助病院〟 キャッチコピーには難ありですね!
コラム一覧へ戻る