2024年の秋、足助病院で美術と医術の講演会が開催されました。
豊田市美術館の企画で、館長はじめ学芸員が美術館の外で様々な話題についてお話してくれるもので、
コンセプトは『美術と医術、まったく異なるように思えるふたつの分野には、意外なつながりがあるかもしれません。鑑賞の現場を起点に、癒し、ケア、テクノロジーなど共通するキーワードを織り交ぜながらお話しします。』です。
当院を訪れたことのある方は、お判りでしょうが病院自体が至極色を纏っており、そして内装も独特の雰囲気を醸し出し、その中を絵画を中心に陶芸品などが彩っています。
開催するにあたり、足助病院の紹介は、『五感を駆使して第六感に問いかけるブランディングプロジェクトを実践する豊田を代表する文化的な医療機関』と、とても素敵に紹介していただきました。
旧病院の時から、〝やさしい美術プロジェクト〟のように芸術家の方々とコラボして少しでも過ごしやすいコミュニティーホスピタルとしての様々な試みを行っているので、職員一同違和感なく受け入れが出来ました。
当日は、私と早川先生を含み職員、地域の方々と共に芸術の秋を堪能しました。
美術の世界ではデッサンなどで人物画を描く際には、骨格・筋肉などの解剖学的な素養も大切だとも聞きます。
とはいえ、美術と医術はどんな関連があるのか、少々疑問符の方もお見えになると思いますので簡略にご紹介いたします。
癒しの芸術(ヒーリング・アート)は、「爽やかな気分になって、心が落ち着くことを目的としたり、沈んだ気持ちに対して、元気づけのきっかけとなる芸術」と定義されています。
絵画や音楽など様々な芸術分野が考えられますし、アロマ(香り)の世界も癒しにはとても有効と考えられています。
病院は、心身ともに高ストレスの患者さん・ご家族が利用する場所です。
人間の生と死にかかわる医療空間には、アートやデザインとの触れ合いが患者さん・ご家族の人の心を波立たせて、精神面から身体の健康の向上につながる訳です。
足助病院は、至極色を纏い、かつ院内もシックで洒落た雰囲気で建築しました。
その他にも、ホールやパティオといった癒しの空間にも知恵を絞りました。
院内の展示物も雰囲気を大切にこれからも進化させていきたいと思います。
ちなみに私は、個人的にクリムト画伯が好きなので、院長室には
“医学のための習作”と“接吻” “抱擁”が飾ってあります。
あ~、もちろんレプリカです、本物は50億円を超えるとかで…